物語分析8号室

物語を分析して、糧にするブログ

響けユーフォニアム 誓いのフィナーレ

 

二年生に進級した久美子たち。一癖ある後輩たちが入部して、久美子は煩わされることに。後輩先輩に挟まれる学年になった彼女たちはどのような日々を過ごすのか、目指せ全国金賞はどうなるのか?そして恋の行方は?


青春映画。この言葉に尽きるのではないだろうか。そして新たにできた後輩たちを通して久美子の今までの一年を振り返ることができる。後輩たちの気持ちを理解しつつも悩む久美子の姿は、よりリアルな物語を描いているような気がする。物語としては久美子、というよりも後輩の物語かなと。特に久美子は大きな変化はないです。いつも通り、というか1,2期の経験を存分に活かして活躍している感じ。面白かったし、感動したけれど、物語としては普通かも。間の物語って感じが強かった。なんというか二年生になって久美子が始めと終わりで特に変化していないのが気になった。この物語いるか?と。原作読みたいなって思う。

 


 入学式での校門前での演奏から始まる物語。二年生になった久美子たちは新たな一年をスタートさせる。低音パートには新たに三人の後輩が増える。コントラバスに下の名前で呼んで欲しい月永求、チューバには人と中々うまくなじめない鈴木美玲と人なつっこい鈴木さつき、そしてユーフォに波風を立たせないことを第一とする久石奏。いい子そうな彼らだが一癖も二癖もあり一筋縄ではいかなそうな予感。そしては久美子は順一と付き合うことに。


 鈴木美玲は居残り練をすることなくすぐ帰るため、鈴木さつきと違ってどこか距離感がある。それを心配する久美子は奏にそれとなく美玲と友達になって居場所を作ってあげて欲しいと頼む。その結果美玲と一緒に早く帰る奏に少し違和感を。美玲は一年、二年の中でもチューバが上手いのもあってただ楽しくやってる様に見えるさつきや葉月に少し反感を覚える。サンフェス時に葉月のアドバイスに無意識に強く反抗してしまい、そんな自分の態度に嫌気がして辞めると逃げ出してしまう。追いかけた奏は美玲をひたすら肯定し受け入れるが、久美子は美玲の本音に迫っていく。ほんとはみんなの輪に入りたい、という本音を引っ張りだし、無事サンフェスにみんなで参加する。ちなみにコンバスの求は緑に対してだけ絶大な信頼と尊敬を向けていた。


 コンクールの課題曲、自由曲も決まり、本番に向けてのオーディションが始まろうとしていた。実力だけで審査されることに奏は気が気じゃない。中学のころ、同じようにオーディオンがあり、下の学年だった奏は先輩を蹴落としコンクールに。しかし結局は上には進められず、それなら先輩を出せばよかったと嫌な目にあっていた。そのこともあり、オーディション当日、手を抜く。しかしそれを聞いていた久美子、なつきが止める。久美子は奏に今までの自分のことをぶつけ、奏を説得。久美子なつき奏は無事オーディションを通過する。ちなみにチューバの葉月さつきは不合格だった。そして久美子は秀一と3年のコンクールが終わるまでは部活に専念したいと、別れることに。


 コンクールは関西大会に無事進み、OBたちとも再開する。しかし関西大会はダメ金(金賞だけど次の大会には進められない)。練習して上手くなってどうなるんですか、と言っていた奏がかつて玲奈が言っていたように、死ぬほど悔しい、と言い、久美子はとても満足気に微笑む。そして久美子が部長となったところで幕を閉じる。

 

個人的に気になるのは久美子。狙い通りなのかもしれないけれど、一番不穏である。この映画では一年時の貯金でやっていた感がある。さらに成長した感じではないし、ダメ金でも悔しそうな感じは見せていない。あと将来も結局決められないまま、など次への布石なんだろうなとは思う。続編が確実だと思えばこれでいいのか。
 キャラクターの役割が絶妙だと思う。どのキャラも掴みはばっちりだし、本当に上手い。あまり出番のなかった求ですらもしっかりと印象を与える。緑、葉月の立ち位置もうまいよなー、と。大勢のキャラのいるなかこれほどキャラ作りが上手い作品はなかなかないと思う