物語分析8号室

物語を分析して、糧にするブログ

モナドの領域

 

女性の腕が発見され、それを境に様々な出来事が起きる。そして過去未来を知る神のような者が現れ、世間を震撼させる。なぜ彼が現れたのか。すべてを知るその者は裁判所、そしてテレビで語る。


前情報無しで読んだため、まったく予想のつかない展開に驚いた。章ごとにどんどん変わっていくこと小説は正直3行で説明するのは難しかった。面白い。
サスペンスものかと思えばどんどん話が壮大なものとなり、そしてきちんと最初の話も解明されるなど、よくできていた。作者曰く「最高傑作」ということだ。その理由にはこれまでの作品の総まとめのようなものだからだろうか。ほかの作品のオマージュというかアンサーというかそういうものがあるらしい。もっとこの作者の作品を読んでからこれを読むことで印象が変わるのかも。

 

 

 



 女性の腕が発見され、次に足が発見されるが、女性が誰なのかもわからず捜査は進展しない。場面が変わりとあるパン屋に。旅行にいくバイトの代わりに入った美大生が例の女性の腕そっくりのパンを作り、その精巧さに驚いた美大の教授をきっかけに一躍パン屋は有名に。しかし途中でその美大生が辞めてしまうが、最後に足を模ったパンを焼く。


 その後やってきた教授はいつもと様子があきらかに違う。公園にいくと様々なことを言い当てて、いわゆる神だとしてちょっとした話題に。人が集まり過ぎ、やがて傷害事件を教授が起こす。警察に捕まり裁判沙汰になるがそれがきっかけで一躍全国で有名に。


 テレビに出て著名人と討論をすることに。この世の仕組みなどを世界に説明するとともにテレビは終わる。


 最後に側近の人になぜ現れたのかを説明し(別次元の足がこちらの世界にきてしまったのでその処理のためにきた)、その後人々の記憶から消え去る


最終的に所謂メタ小説ということになるだろう。作者と自分の小説に対する答えともいえる作品。小説としての楽しさを保ちつつ、自分意見を全面に出すというのは普通じゃできないことだとは思う。