物語分析8号室

物語を分析して、糧にするブログ

さよなら、僕のマンハッタン

さよなら僕のマンハッタン

自分のつまらなさにに嘆いた大学生が、隣に引っ越してきた男とふれあうことがきっかけに人生が動き出す物語。真面目な父親の不倫。その不倫相手。友達止まりの女の子。そして家族の秘密。自分が動き出せばつまらない人生なんてない。

 


最初は大丈夫か?と思っていたが徐々に面白くなっていった。出来過ぎ!と思う部分もあったけど、納得できる説明があるからまぁよし。やはり物語は説得力が大事。主人公が動きだすことで物語もどんどん転がっていきます。最初の思ってた展開とはどんどん離れていったので、そういうところも面白い。隣人をきっかけに始まり、隣人の謎で解明できれいに終わる。見てよかったな、と思える作品。勉強になる。

 

 

 告白して振られ、自暴自棄状態のところに隣人が引っ越してくる。人生相談役となった隣人によって主人公が少しずつ積極的になっていく。振られた友達とバーに行ったとき、出版社の社長である父親の不倫現場を見ることに。不倫相手を追跡していくうちにその不倫相手と惹かれ合うことになる。また主人公の変化に伴い友達も次第に惹かれて行くことに。

 

 母親が元気がなくて、公園に一人でいるらしいことを聞くが、主人公は自分ではどうにもできない。隣人に相談しようとしたら部屋にはいなく、彼が執筆していた物語とペンネームを知る。隣人に聞いてみると、ネタ探しにここに引っ越し、君をネタに物語を書いていたことを知る。主人公もかつて物語を書いていたが、父親に才能がないと言われそれ以来書いてないことを話す。以前書いたものを隣人に見せると、才能がある、と褒めてくれる。

 

 不倫相手に父親に結婚を申し込まれていることを知る。気が動転した主人公は父親に不倫相手と付き合っていることを話す。父親と喧嘩をするが、不倫相手があなたは愛されている、と社長室に飾ってある主人公の写真を見せる。

 

 主人公はその写真から違うことを発見する。そこで隣人を探し、写真に隣人が写っていることを問う。実は隣人は主人公の本当の息子であり、元々は母親と愛し合っていたが、作家として才能のあった隣人とはタイミングが合わず、母親は父親と結婚。しかし子供に恵まれず、その原因が父親のあった。そこで母親と隣人が子供をつくることになったことを説明。それ以来母親ともあっていないとのこと
主人公は母親にすべてを話す。主人公は小説家を目指すことに、父親とは友人のようないい関係を収まり、隣人は朗読会などで主人公や母親に会えるようになったりとハッピーエンドへ。

 

 


物語のキーはなぜそんな行動を?というのが散らばっていること。
まず隣人。なぜ引っ越してきたのか→小説のネタ探し→実は実の息子の様子を見に
父親→なぜ不倫をしているのか→母親に罪悪感と疎外感をずっと感じていたから。やっとちゃんと愛し合うことができる人を見つけたから。
不倫相手→なぜ息子とも恋愛関係になったのか→父親の血を感じたから→父親が本当の父親だと誤解させるためのミスリード
母親→なぜ公園に佇むなど不振な行動を取っていたのか→父親が不倫していることに気づいている、というミスリード。本当は知られないように隣人が書いた本を読んでいた。

それぞれの行動に意味があってそれによってストーリーを引っ張っていく。こういうのはぜひ参考にしたい。

あと題名の「さよなら僕のマンハッタン」はマンハッタンに一人暮らししている主人公に、そんなつまらない街に住んでどうするんだ、実家に戻ってこい、みたいな台詞があったことから、つまらない人生に主人公がさよならをする、という意味だと思う。