物語分析8号室

物語を分析して、糧にするブログ

500ページの夢の束

 

母親が亡くなって姉と離れて暮らす自閉症の女性の物語。一緒に暮らしていた家を買い取るために、「スタートレック」の脚本賞を取るために、事務所まで提出しにいくロードムービー。旅の途中で人と関わりながら成長していく彼女は無事提出できるのか。


まずなんと言ってもあのダコダファニングが主役ということで観た。あともちろん題材にも惹かれて。障害を持った人のロードムービーってけっこうありがちな題材ではあるけれど、これはそれとは少し違った。普通はいろんな人に助けられて、この世界は優しい、みたいな感じだけど、これは違う。全然優しくない。もちろん優しい人も出てくるけど、半々くらい。出会う人によってトラブルに巻き込まれ、その体験の中で成長していく、そんなストーリーでした。むしろこういう方向の方が好きだな、と思った。
一つ残念だったのが自分が「スタートレック」のことを全然知らないこと。アメリカではメジャーな物語(日本だとドラゴンボールくらいか?)だからきっと本国ではもっとすんなり物語に入っていけたんだろう。こういうメジャーな物語をキーにしていくのもありなんだろうな

 

 

 



 自閉症である彼女は施設で暮らしている。服も自分で着替えるし、シャワーも浴びれる。一人でバイト先にいけるし仕事もできる。スタートレックが大好きで自分で物語も書ける。施設での暮らしで自分のことは大体一人でできるようになってきていた彼女。そんな彼女に離れて暮らす姉が訪れることになっていた。その姉とは以前一緒に暮らしていたが、時々パニックになることで手を焼いていて、自分の子供がいることもあり彼女を施設に預けていた。姉と面会した彼女は、また一緒に暮らすことを望んでいたが、姉はそれはできないと拒否をする。そして一緒に暮らしていた家を売ることになったと。家を買うお金があればまた一緒に暮らせると思った彼女は、「スタートレック」の脚本に賞金が出る企画があることを知る。それに応募しようとしてたが、建国記念日が重なり、投函じゃ間に合わないため、自分の足で届けることにする。
 

 飼っている猫がついてきたので一緒に行くが、せっかく乗れたバスで見つかってしまい途中で降ろされる。しかしそこで会った女性に、車に乗せてもらえそうになったが、お金を欺し取られる、その後も交通事故に合い、病院に連れられ、脱出しようとするが提出する原稿をばらまくなど、中々うまく行かない。


 そんな中心の支えになったのが「スタートレック」。人間の心がわからない「スポック」の成長を自ら描く中で自分も励まされつつ、諦めないであの手この手で前へ進んでいく。
警察に保護されるが、無事施設長や姉と合流する。
一緒に事務所まで行き、最後は彼女の一人で提出しにいくことに。担当者に拒否されながらもしっかりと自分の意見を言いつつ、機転を利かせ投函する。


 結果は賞は取れなかったが、彼女は今まで自ら交流しなかった同僚にも声をかけるなど、変化・成長していた。姉も彼女の成長を認め、一緒に暮らすまではいかないまでも、頻繁に交流できるようになった。