物語分析8号室

物語を分析して、糧にするブログ

ハローサマー、グッドバイ

 

地球ではない異星での物語。戦時中、去年と同じように夏に街を離れた主人公。また彼女と再開し、一つの恋模様が描かれる。その街では平民と貴族での争いが悪化し、貴族の息子である主人公は二つの間で大人になる。街の秘密、星の秘密を主人公は知ることとなる


すっかりファンになってしまった。最初は割とたいくつで、SF小説の意味があるのか正直わからなかったが、最後まで読むとため息がでるほどSFだったと驚嘆した。嫉妬するほどうまい。SFらしい生物が出るのだけれど、詳しい説明もなしに物語をひっぱる力はすごい、の一言。こうやって読者を信じて説明しない、というのもいいんだろうな。



 寒さを必要以上に怖がる異星人たち。なぜならこの星では寒さによる死があるからだ。主人公も以前叔母を亡くした。そのときはロリンという生物に助けられた。
貴族である主人公たちは夏に父親の仕事で街へいく。去年も行ったところで恋をした彼女がいるところだ。無事、彼女と会うことになり、お互いが恋をし合ってることをしり、二人は恋人のように過ごすことになる。


 ある日友達が氷魔神に襲われるも主人公が機転をきかしロリンを使い無事助ける。しかしその友達の弟が行方不明に。街をあげての捜査をするが一向に見つからない。貴族が運営する工場に入って探そうとするが、入れてもらえず、街の人と貴族での争いが表面化することに。国防のための武器が運び込まれるがそれを街の人が盗むなど争いは止むことはない。そこで他国からの船が沈没するが、そこには他国製の武器が積まれており、貴族たちと貿易をしていた様子。なぜ戦争中の他国から武器をもらっているのかと、謎と争いは大きくなる。


 この戦争は嘘であり、本当は市民と貴族を争うことに意味があった。というのもこの星は周期的に氷の星となってしまい、人類分の食料などは確保できない。貴族たちはシェルターを作り、そこに食料などを蓄え、この氷の星の時期を真逃れようとしていたのだ。貴族側である主人公はシェルターに強制に入れられるが、彼女や街の人たちと境界線で日々を過ごす。しかし次第に街が凍りつき、そしてなぜか街の人々も姿を消していくことに。彼女たちが消え、消沈する主人公は貴族たちとこのシェルターの中で日中を過ごすことに。しかしこのシェルターも階級で分けられており、下級の貴族である主人公一家も無事ではなさそう。


 しかし主人公はこの星の謎に気づき、外へと向かう。なぜ寒さにこれほどまで怖がっているのか。なぜコリンに助けられるとそのときの記憶はすっかりないのか。そして氷の星、の文献はなぜないのか。それは我々が何度もこの氷の星をやり過ごしているからだった。我々はコリンによって氷の星の時期を冬眠によって、生きてきたのだった。そしてコリンが主人公の前に姿を表す